「原状回復工事」とは契約が終わった賃貸物件を入居時の状態に戻す工事のことです。
退去、移転を考えている以上は一般的に避けては通れない工事の一つになります。
ただ原状回復工事をどこに依頼すれば良いのか分からない方もいらっしゃると思います。
まずは賃貸契約書を確認してみましょう。
工事業者は選べるの?

恐らく契約書には原状回復工事を行うにあたり使用する工事業者には大きくわけて
2つのパターンにわけられます。
(1) オーナーの指定工事業者
(2)テナントの任意業者による工事業者
大抵は(1)のオーナーの指定工事業者と契約書には記載されていると思いますが、
工事業者が指名されている場合が多いです。
その理由は一体なぜでしょう?
それは、貸し出す物件がオーナーにとって「大切な商品」だからです。
一度貸し出したら終わりということはなく、その後もまた新たに貸し出し・管理していきます。長く扱う商品を任せるなら、オーナー自身が信頼できる業者に頼みたいと考えるのは当然といえるでしょう。
理由がわかっていても
施工内容の適切性、不必要な工事項目の有無、基準単価の妥当性がわからず、
言い値での対応になってしまい通常の原状回復相場の2~3倍を提示される場合も少なくはありません。
テナント側で探してきた業者で相見積を取り金額が60%程度に削減できたとしても、
契約上工事業者が指定されている場合はテナント側で探してきた業者で施工することは困難となります。
しかし一部例外を除き、指定工事業者以外で施工することが可能な場合があります。
指定業者以外で施工できる例

実例をもとにみていきましょう。
ケース① オーナー、ビル管理会社との交渉によりすべての工事を任意業者で施工
<指定工事業者とテナント側で探してきた業者との工事金額に300万円以上の差がありました。相見積をもとにビル管理会社に工事金額の金額交渉をしたところ、そこまで金額を落とすことが出来ないため任意業者で施工しても良いとの承認を頂きました。
しかし、任意業者を使用する代わりに下記条件を提示されました。>
(1) 使用する業者の工事実績を20件以上提出すること。
(2) 工事毎に完了報告の写真を提出すること。
(3) ビル管理会社としての管理業務を行うため工事金額の10%を管理委託費として
別途費用が掛かること。
(3)については工事実績、工事内容を事前に確認が出来たとしてもビル管理会社側が求めている施工クオリティーで対応してくれるのかが不透明です。
費用は掛かりましたが管理業務を行ってもらえることにより品質管理、工事環境を整えてくれたため、工事完了時も工事の漏れや不備がなく両者共に気持ちよく引き渡しが出来たケースです。
ケース② 任意業者がビル管理会社の下請け業者として施工した
<指定工事業者とテナント側で探してきた業者との見積金額に150万円以上の差がありました。
ビル管理会社に金額交渉してみましたが金額を下げることも出来ず、オーナーの強い意向により指定工事業者ではないと施工されられないとビル管理会社から説明がありました。
納得がいかず話を深く進めたところ、施工会社は管理会社としては変えても良いのだがオーナーの手前、変えることが出来ないとの説明をうけました。>
そこで提案したのが「ビル指定工事業者の下請け業者として施工させて下さい」との提示でした。
結果として下請け業者としての施工を承認頂き、テナント様の工事金額も下げられオーナーにも角が立たない方法を取ることが出来たケースです。
最後に・・・

指定工事業者との契約であっても交渉によっては任意業者での施工が許されるケースも増えていますがそれでも指定工事業者ではないと施工することが出来ない物件がほとんどです。
しかし昨今ではコロナウィルスの影響で退去するテナントも多いため、オーナーとしても少しでも原状回復工事費用を抑えてあげたいと感じている方も多いでしょう。
任意業者での施工が出来なくとも、金額交渉や一部の工事は任意業者での施工の許可を出してくれることが多くなっています。
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