飲食店や販売店、オフィスなどでテナントを借り、退去する場合には原状回復が求められ、その費用が出せないとスムーズな退去もできません。
ですが、退去時には原状回復費用以外にもさまざまな費用が発生します。
経営悪化に伴い閉店せざるを得なくなる場合や、企業の倒産でオフィスを閉めざるを得なくなっても費用がないと閉店や閉鎖もできず、オーナーや不動産会社との間でトラブルが発生することもあります。
こうしたトラブルを防ぐためには、テナント退去時にかかる費用についてあらかじめ理解し、少しでも資金が残されているときに決断することが大切です。
テナント退去を行う場面

テナント退去が必要となる場面は経営悪化による閉店やオフィス閉鎖だけではありません。
後継者不足で事業を辞める場合もありますし、逆に売上が伸びることや集客が増え、より立地が良く広いテナントへと移転するケースもあります。
また、家賃が高い、集客が減少しているなどの理由でより家賃が安くて小さなテナントへと縮小移転することもあるでしょう。
稀なケースですが、テナントの建物が老朽化し、解体や建て替えのために退去を求める通知がオーナーから来る場合もあります。
契約期間の途中で退去する場合の注意点

テナント退去時には原状回復費用がかかるわけですが、賃貸借契約で定めた契約期間の途中で退去する場合、解約金や違約金が発生する場合や残存期間の家賃の支払いを求められる場合があるので注意しましょう。
この点、個人で居住物件を借りて中途解約する場合は1ヶ月前に申し出ればよく、中途解約でも違約金などは発生せず、日割り家賃で居住した分だけ支払いをすれば良いケースが多いです。
これに対してビジネス目的でのテナントを借りる契約では、中途解約時に解約金や違約金を取られる条項が入っている場合もあるので注意が必要となります。
契約時にもその点をしっかり理解したうえで契約するとともに、閉店や移転などを決めるタイミングも検討することが大切です。
もちろん、契約満了まで延ばせば移転のタイミングを逃すことや、その期間中は家賃を払い続けなくてはなりません。
支払う家賃や次の目的や契機、解約金や違約金、残存期間の家賃の額などを勘案したうえで今退去するのか、契約満了までその場所で経営を続けるのかを検討しましょう。
移転する場合にはさらに注意を

店舗の閉店や事業の閉鎖ではなく、別の場所に移転する場合には原状回復費用やその他の退去に伴う費用とともに、移転費用や新しいテナントを借りるための費用も発生します。
新しいテナントを借りるためには家賃だけでなく、保証金や敷金の支払いも必要です。
ビジネス目的で借りる場合、保証金の額も家賃の3ヶ月分や半年分など高額になる場合も少なくありません。
また、契約条項に違約金や解約金などの定めがなされる場合もあるので、新規契約前によく確認が必要です。
移転先が決まったら、原状回復費用やその他の退去に伴う費用に加えて、引越し費用も発生します。
移転先で店舗やオフィスを開くための改装工事や改修工事などの費用も必要です。
また、新たな設備や什器、備品などを新調する場合には、その購入費用やリース料などの支払いも発生します。
経営が順調で成長を遂げ、拡大移転する場合などは資金力も旺盛で、さまざまな費用が発生しても問題ないかもしれません。
一方、経営が悪化することや現在のテナントでの家賃が負担になってきたなどで縮小移転する場合には注意が必要です。
単純に家賃の額で比較して、家賃負担が安くなるから経営体力を回復できるわけではありません。
退去費用や移転費用、新しいテナントで店舗を開くための工事費用や設備などの導入費用もかかるので、しっかりと資金計画や移転に伴う資金シミュレーションを行いましょう。
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